最近、相続のお客様で住宅取得資金等贈与に係る相続精算課税を選択された方の依頼を受けました。
そもそも相続時精算課税制度は贈与時に贈与税は課税されませんが、相続時に贈与財産を相続財産として持ち戻す制度です。
(実際にかつてそのような方がいらっしゃいました。)
そして、相続時精算課税制度の特別枠として住宅取得資金等贈与に係る相続精算課税制度が併設され、相続時精算課税制度の贈与税非課税枠2,500万円と住宅取得資金等贈与の非課税枠1,000万円の合計3,500万円が贈与税非課税となりました。
この、住宅取得資金等贈与の非課税枠1,000万円を現行の住宅取得資金等贈与の非課税と混同されて、相続時に持ち戻す必要がないと思われている方がいます。
ご相談に来られたお客様がまさにそうでした。
住宅取得資金等贈与の制度は現在も続いておりますが、5分5乗方式という贈与税の軽減措置まで含めると10年以上の歴史があります。
相続時精算課税という、相続時に持ち戻す制度が創設されたのが平成15年です。
ちょうど10年経過していることを鑑みますと、今後相続の案件で上記のような例は増えてくるのではないかと思います。
したがって、相続依頼時にはかつての贈与も含め、見落としがちな事項を初回のヒアリングでしっかり確認する作業がとても重要だと改めて思っております。
(以下、住宅取得資金等贈与の非課税の変遷です。)
●平成15年~平成21年
精算課税・一般枠2,500万円+住宅枠1,000万円=3,500万円は贈与税非課税。
ただし、相続時に3,500万円持ち戻し
●平成21年
贈与税非課税500万円(相続時の持ち戻しなし・精算課税住宅枠1,000万円との併用可)
●平成22年
贈与税非課税1,500万円(相続時の持ち戻しなし・精算課住宅枠1,000万円廃止)
●平成23年~平成24年
贈与税非課税1,000万円(相続時の持ち戻しなし)
●平成25年
贈与税非課税700万円(相続時の持ち戻しなし)
●平成26年
贈与税非課税500万円(相続時の持ち戻しなし)