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「婚外子相続差別は違憲の最高裁決定~ 115年続いた相続差別解消へ 」

結婚していない男女間に生まれた婚外子(非嫡出子)の相続分を法律婚の子(嫡出子)の半分とする民法の規定を巡る裁判で、最高裁大法廷(裁判長・竹崎博允長官)は4日、規定は法の下の平等を定めた憲法に違反し無効だとする決定をしました。

裁判官14人全員一致の判断で、規定を合憲とした1995年の判例を見直しました。

一方、判例変更に伴う混乱を防ぐため、違憲判断は決着済みの遺産分割には影響しないとする異例の言及をしました。

115年に及んだ婚外子(非嫡出子)の相続差別は解消されます。

個人的には、親の都合で子が差別されるのはおかしいし、遅すぎた決定ではないかと思っています。

(以下、9月5日付 「日経新聞」より抜粋)

 菅義偉官房長官は4日の記者会見で「最高裁の判断は厳粛に受け止める必要がある」と発言。政府は早ければ秋の臨時国会への民法改正案の提出を目指す。

 決定が出たのは、2001年7月に死亡した東京都の男性と同年11月に死亡した和歌山県の男性の遺産分割審判の特別抗告審。いずれも法律婚の妻と内縁関係の女性との間にそれぞれ子供をもうけていた。

 大法廷は決定理由で、日本社会に法律婚制度が定着していることを認めながらも、家族の形態は多様化していると指摘。「父母が婚姻関係になかったという、子にとって選択の余地がない理由で不利益を及ぼすことは許されないという考えが確立されている」とした。

 「規定の合理的根拠は失われている」とし、今回の事案が発生した01年7月には違憲だったと判断。合憲とした二審の判断を破棄して審理を高裁に差し戻した。

 最高裁の裁判官15人のうち、寺田逸郎裁判官(裁判官出身)は法務省在職当時の公務との関係を理由に審理から外れた。

 ▼婚外子の相続規定 婚姻届を提出した法律上の夫婦間に生まれた子を「嫡出子」、結婚していない男女間に生まれた子を「非嫡出子」(婚外子)と呼ぶ。民法は900条4号ただし書きで「非嫡出子の相続分は嫡出子の2分の1」と規定。明治時代の旧民法に盛り込まれ、戦後も引き継がれた。

 厚生労働省の人口動態統計によると、2011年に出生した嫡出子は102万7452人(97.8%)。婚外子は2万3354人(2.2%)で、増加傾向にある。

●95年には合憲

最高裁は4日の決定で「婚外子の増加のほか、晩婚化や非婚化、少子化、子を持つ夫婦の離婚の増加などで、結婚や家族の在り方、それに対する国民の意識が大きく多様化した」と指摘。社会の変化の一つ一つは違憲の決定打にならなくても、総合的に判断すれば「家族という共同体の中で、個人の尊重が明確に認識されてきたのは明らかだ」と明言した。

 95年に大法廷が合憲と判断して以降、最高裁は小法廷でも合憲の判例を積み重ねてきた。ただ毎回反対意見が付き、4日の決定は「(最近は)合憲の結論をかろうじて維持していた」「相続制度の合理性は時代とともに変遷する」と指摘。社会の変化が歴史的な判例変更を後押ししたとの見方を示した。

 もともと1898年施行の明治民法で婚外子差別が導入されたのは、法律婚を重視する家族制度が根底にあったためだ。欧米でも宗教上の理由で、かつては婚外子への根強い差別があった。

●他制度に影響も

その後欧米では事実婚の増加などから、60年代以降に差別撤廃が進んだ。韓国や社会主義の中国にも区別はなく、主要先進国で規定が残るのは日本だけ。国連はこれまでに計10回、日本に是正を求める勧告をしており、いわば外堀も埋められた形になっていた。

 家族制度を巡っては近年、夫婦別姓制度や同性婚の是非、女性に限って離婚後180日間の再婚を禁じた規定の合理性などが議論になっている。いずれも賛否両論の対立が解けておらず、制度改正に向けた手続きは膠着したままだ。

 最高裁が日本社会で個人の尊重が進んでいると明確に指摘し、社会情勢や国民感情の変化と照らして法律の合理性を吟味したことは、こうした状況に一石を投じる可能性がある。個の尊重と旧来の社会制度との折り合いをどうつけるのか、議論が活発になりそうだ。

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