件名:◆「あらゆる節税対策を紹介する」メルマガ◆会社を2社作ると本当に節税になるのか? 日付:2013/04/22 差出人:石井税理士事務所
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一般書店で売っている節税本に「別会社を作ると節税になる」と
書いてあることがあります。
はたして本当にそうでしょうか。
また、本当ならどれくらい節税できるのでしょうか。
今回はこれを考えてみたいと思います。
主なメリットしてあげられる項目は次の4項目です。
@利益を分散させることができる
A交際費を分散させることができる
B退職金が多くもらえる
C消費税が免税となる
では、それぞれの項目ごとに見ていきましょう。
@利益を分散させることができる
中小企業の法人税、法人事業税、法人住民税の税率は利益金額
が低いと税率が低く設定されています。
このため、利益を分散させると低い税率で課税される部分が増
え、トータルの税額が低くなる節税効果があります。
しかし、単純に税率の差を利用した節税という意味なら、相当
利益が計上されないと、大した効果はありません。
現状の利益金額が5,000万円とします。
そして、別会社を作って、年間2,500万円の利益を移転させたと
すると、節税額は以下のとおりとなります。
<現状>
利益金額:5,000万円
法人税:13,101,000円
法人事業税:4,514,100円
法人住民税:2,336,400円
納税額合計 19,951,500円
<別会社を作って利益分散した場合>
利益金額:2,500万円×2社=5,000万円
法人税:6,088,500円×2社=12,177,000円
法人事業税:2,115,800円×2社=4,231,600円
法人住民税:1,123,200円×2社=2,246,400円
納税額合計 18,655,000円
◯節税額 19,951,500円―18,655,000円=1,296,500円
確かに約130万円ほど、節税効果があります。しかし、注意し
てください。会社を作ったことによって会計事務所の報酬がい
くら追加されましたか?
また、会社側の事務処理が増えたため、パート一人雇ったとし
たら人件費がいくら追加されましたか?
この点をよく考えて設立してくださいね。月12万円のパートさ
んを雇ったらマイナスですよ。
A交際費を分散させることができる
交際費は年間600万円までは支出額の90%が経費として計上でき
ます。そして、600万円を超える部分については全額経費となり
ません。
しかし、これについては税制改正があり、平成25年4月以降開始
事業年度については以下のとおりとなりました。
◯支出額の90%が経費
→支出額の全額が経費
◯600万円を超える部分は経費計上できない
→800万円を超える部分は経費計上できない
現状の交際費が1,000万円だったとします。
そして、別会社を作って、年間500万円の交際費を移転できたと
します。
すると、節税額は以下のとおりとなります。
<現状> 利益金額:5,000万円 交際費額:1,000万円
法人税、法人事業税、法人住民税の額の合計額:20,801,500円
<別会社を作って交際費を分散した場合>
利益金額:2,500万円×2社=5,000万円
交際費額:500万円×2社=1,000万円
法人税、法人事業税、法人住民税の額の合計額:18,655,000円
◯節税額 20,801,500円―18,655,000円=2,146,500円
単なる利益分散よりは節税効果が出てきます。交際費の支出が
多い会社については検討の余地がありますね。
B退職金が多くもらえる
2つの会社に在籍すれば、それぞれの会社で退職金を取得するこ
とができます。
退職金は税率が非常に低く設定されていますので、個人の所得税
・住民税を大幅に軽減することができます。
現状の退職金予定額を3,000万円だとします。
そして別会社を作って、それぞれの会社で退職金を1,500万円ず
つ取得したとします。 すると、節税額は以下のとおりとなります。
なお、別会社を作った場合、退職金を支給する年は別々の年に支
給します。
<現状>
退職金:3,000万円
勤続年数:20年
所得税額、住民税額の合計額:3,237,974円
<別会社を作って退職金を分散した場合>
退職金:1,500万円×2社
勤続年数:20年
所得税額、住民税額の合計額:628,222円×2社=1,256,444円
◯節税額 3,237,974円―1,256,444円=1,981,530円
ただし、退職金については「引退時」のことですので、将来予定ど
おりの退職金が支給できるかどうかはわかりませんね。
はたして本当に節税効果があるかどうかは、将来の状況によります
ので、現時点では「絵に描いた餅」となることもあります。
C消費税が免税となる
新設会社は原則2年間は免税ですので、2年間は節税効果が期待でき
ます。
ただし、これも税制改正があって、2年間の免税が1年間しか免税に
しかならない場合もありますので注意が必要です。
現状の課税売上高が1億円、消費税額が300万円だとします。
そして別会社を作って、5,000万円の売上を移転させたとすると、節
税額は以下のとおりとなります。
<現状>
消費税額:300万円
<別会社を作って売上を分散した場合>
消費税額:300万円×1/2=150万円
◯節税額 (300万円―150万円)×2年=300万円
今後消費税額が8%、10%に増税されれば、節税効果は倍増します。
ただし、2年間限定ですが・・・。
なお、税制改正により平成26年4月1日以後に別会社を作る場合、既
存会社の課税売上高が5億円を超える会社のときは別会社は1年目か
ら消費税は免税とならないので、注意が必要です。
いかがでしたでしょうか?
4つの項目を見てきましたが、一つ一つの項目を見ていくと一長一短
なところがあるものの、節税効果は確かにあるのです。
しかし、1社が2社になることによって、事務負担・費用負担が増大す
ることをしっかりと計算して、総合的に判断してみてくださいね。
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