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----- 石井税理士事務所 -----


件名:◆節税対策メルマガVol.63◆給与か?外注か?
日付:2015/07/21
差出人:石井税理士事務所 


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  『「あらゆる節税対策を紹介する」メルマガ』Vol.63

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7月10日は社会保険の算定基礎届の提出期限でした。

社会保険については会社であれば、本来は強制加入となるのですが、

社会保険料の負担が重いため、加入していない会社が多いのが現状

です。

これについては昨年の7月に年金機構が国税庁と連携して社会保険

の未加入事業所を洗い出しを行い、数年かけて強制的に社会保険の

加入手続きを行うと発表がありました。

(詳細は私のブログ「厚生年金、加入逃れ阻止へ〜国税庁との連携で」

をご参照ください。)

http://ameblo.jp/zuisan1964/entry-11888578589.html


この発表からちょうど1年ほど経過しましたが、実際に年金事務所から

の加入要請が強まっていて加入している会社が増えています。


この社会保険料の負担を少しでも軽減しようとして、従業員を解雇

し、外注先として新たに仕事を依頼する会社もあります。

年金事務所としてみれば最優先すべき目的は、まず会社を社会保険

に加入させることにありますから、このようなやり方であっても、

特に問題は起こっていないようです。


しかし、税務上の観点からすると、注意すべき問題となります。


「給与」扱いであれば消費税はかからないので、消費税の控除が

できません。これに対して「外注費」には消費税がかかるので、

消費税の控除ができます。

それゆえ、消費税の節税のためにこのやり方を選択するのですが、

税務調査で問題視されることが「よく」あるのです。



社会保険料、消費税の両方を節減することができるので、この手法

を選択したいところですが、選択にあたっては以下の2点をよく検討

したうえで判断してほしいと思っています。


まず、最初の点は外注先に切り替わった元従業員の問題です。

従業員であれば年末調整で終わっていたものが、外注扱いになった

ために、毎年自分で確定申告をしなければなりません。

また、今まで給与で支給されていた金額と全く同じ金額を支払うこと

になった場合、税金を多く払う可能性が高くなります。


例えば年収500万円の従業員を外注先に切り替えたとします。

この場合、税金の対象となる金額(所得金額)は下記のとおりとなります。


(1)給与扱いの場合・・・346万円

(2)外注扱いの場合・・・435万円


給与扱いの場合は「給与所得控除」の金額を154万円控除することが

できます。(500万円―154万円=346万円)

一方、外注扱いの場合は「青色申告特別控除」の金額65万円のみ控除

することができます。(500万円―65万円=435万円)


 その差85万円です。


外注扱いになれば、仕事で使ったガソリン代、電話代を経費にできます。

また、自宅の一部を仕事部屋として使うことで家賃の一部を控除すること

ができます。

これらの経費が年間で85万円以上あれば、外注扱いの場合の方が税金は安く

なりますが、これまで従業員として働いていた者が年間85万円以上の経費

を捻出するのは難しいのではないしょうか。


一概にどちらが良いとは言えませんが、まず従業員の立場を考慮し、

よく話し合うことが必要になるでしょう。



次に「外注費」として処理したものが税務調査で否認され「給与」扱い

に是正されることがあります。

否認されれば消費税の控除不可、源泉所得税の徴収もれとなり、最終的には

社会保険の加入問題もかかわり、多額な金額を支払うことになりかねません。


これを否認されないようにするためには、まず外注先との業務委託契約書

を作成し、外注扱いであることを明確にしておくことが必要です。

当然ながら毎月の請求書発行も必要です。


しかし、これで万全というわけにはいきません。


実は外注費と給与の明確な線引きは税法上ありません。


では税務調査官は何を基準に外注と給与を区別しているのか?


下記の東京国税局の内部通達があります。


【給与所得と事業所得との区分 給与?それとも外注費?】

 東京国税局 平成15年7月 第28号

【情報公開法第9条第1項による開示情報】

【目 次】

1 給与所得と事業所得の差異

2 所得区分の検討

3 実務上の判定方法

4 消費税の取扱い

 〇 給与所得及び事業所得の判定検討表

(参考)給与所得の意義に関する裁判例


この中の「給与所得及び事業所得の判定検討表」で質問項目について、

YESかNOかをチェックし、外注費と給与かを総合的に判定しています。

(〇の多少で判定せず、あくまで【総合的に】判定することとなっています。)


「給与所得及び事業所得の判定検討表」の質問項目は以下のとおり。


・当該契約の内容が他人の代替を容れるか?
 
 YES→外注 NO→給与


・仕事の遂行に当たり個々の作業について指揮監督を受けるか?     

 YES→給与 NO→外注


・まだ引渡しを終わっていない完成品が不可抗力のため滅失した場合等

 において、その者が権利として報酬の請求をなすことができるか?    

 YES→給与 NO→外注


・材料が提供されているか?     

 YES→給与 NO→外注


・作業用具が供与されているか?   

 YES→給与 NO→外注


・雇用契約又はこれに準ずる契約等に基づいているか?         

 YES→給与 NO→外注


・使用者の指揮命令に服して提供した役務か?

 YES→給与 NO→外注


・使用者との関係において何らかの空間的、時間的な拘束を受けているか?

 YES→給与 NO→外注


・継続的ないし断続的に労務の又は役務の提供があるか?        

 YES→給与 NO→外注


・自己の計算と危険において、独立して営まれているか?        

 YES→外注 NO→給与


・営利性、有償性を有しているか?  

 YES→外注 NO→給与


・反復継続して遂行する意思があるか?

 YES→外注 NO→給与


・社会的地位が客観的に認められる業務か?

 YES→外注 NO→給与


いろいろな面から外注費と給与かを判定していくわけです。

逆に言えば、上記の項目を明確に織り込んだ業務委託契約書を作成

しておけば、外注扱いになる可能性は高くなるということになります。

(もちろん、契約内容と実態が合致していなければなりませんが。)


 いかがでしょうか?


上記の判定表は絶対的なものではありませんし、必ずしも全ての税務調査官

がこの判定表を使っているとは思えません。

しかし、【従業員解雇→外注扱い】の選択をして節税となったと思っていた

ものが、数年後の税務調査で全く逆の結果を招くこともあり得るのです。

であれば、選択した段階で書類の整備だけは万事怠りなく、実行しておく

べきなのです。


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