件名:◆節税対策メルマガVol.62◆自宅を売却するなら相続前?相続後? 日付:2015/07/06 差出人:石井税理士事務所
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『「あらゆる節税対策を紹介する」メルマガ』Vol.62
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7月1日に路線価の発表がありました。路線価は相続税の計算基準
となる土地の1平方メートルあたりの単価です。
全国平均では7年連続の下落となったものの、下げ止まりの傾向が
強まりました。
一方、再開発が進み、海外からの投資資金が集まっている東京・
大阪・愛知の大都市や、東日本大震災の被災者が移転するための
住宅地の需要が大きい宮城、福島など10の都府県では、去年より
上昇しました。
平成27年から基礎控除の縮小等、相続税の大改正がスタートし、
当事務所でも相続対策に関する相談が増えていますが、
「親の自宅を相続前に売却するのと、相続後に売却するのでは
どちらが節税になりますか?」というご質問を受けることが
あります。
これは、一人暮らしの母親(又は父親)が要介護状態になり、老人
ホーム等の介護施設に入所したため、自宅が空家状態になり、
相続人である子供達は既に独立して世帯を持っているので、あえて
親の自宅を相続して住もうとは思っていないような場合が該当します。
介護状態である状況から考えると、親が再び自宅に戻ってくることは
かなり可能性が低いと思っており、子供達は自宅を売却する方向で
意見が一致しています。
このようなご相談事例は今後も増えてくると思われますが、一体
【相続前】に売却するのと、【相続後】に売却するのではどちらが
節税になるのでしょうか?
実際に具体例をあげて見てみましょう。
【前提条件】
〇母親の財産総額:1億4千万円
内訳:自宅土地…4千万円(約60坪・相続税評価額)
その他金融資産…1億円
〇自宅土地は母親が親から30年前に相続により取得
〇母親の収入は年金収入のみで、年200万円程度
〇売却予定額5千万円、これに係る仲介手数料150万円
〇推定相続人は長男、次男の2人
〇長男は持家所有、次男は賃貸マンションに居住
〇相続後に売却する場合は次男が自宅を相続する
〇相続割合は長男、次男で1/2ずつ相続
〇次男は会社員で年収500万円程度
【1】相続前に自宅を売却した場合
相続前に自宅を売却した場合、まず売却に係る譲渡税が発生します。
ただし、自宅の売却については、売却益の3,000万円が控除できる特例
があります。また、税率についても6,000万円までは所得税、住民税
併せて14%の軽減税率の特例があります。
これらの優遇措置が全て使えるとすれば、5,000万円で売却できた場合、
所得税・住民税は以下の金額になります。
課税所得:5,000万円−(5,000万円×5%+150万円)−3,000万円
=1,600万円
所得税・住民税:1,600万円×14%=224万円
一方、課税所得が1,600万円増えることにより、母親の健康保険料
が増額されることになります。
年金収入200万円の場合、約52万円健康保険料が増額します。
これらを加味すると、5千万円で売却した土地は、仲介手数料150万円、
所得税・住民税224万円、健康保険料の増額分52万円の合計426万円
を控除した4,574万円がキャッシュとして手元に残ることになります。
また、売却後に相続が発生した場合、母親の遺産総額は下記のように
変化しています。
売却前の遺産総額:1億4千万円
売却後の遺産総額:1億4千万円−4千万円(土地の相続税評価) +4,574万円(売却によるキャッシュ残)
=1億4,574万円
上記1億4,574万円の相続税総額は1,712万円になります。
整理してみましょう。
相続前に売却した場合の健康保険料を含む納税負担額は下記のとおり
となります。
〇所得税・住民税:224万円
〇健康保険料:52万円
〇相続税:1,712万円
合計額1,988万円
【2】相続後に自宅を売却した場合
相続後に自宅を売却した場合、まず相続税が発生します。
自宅を相続する次男については、小規模宅地等の減額という、相続税の
特例制度を受けることができます。
これは借家住まいの子が親の自宅を相続した場合等、一定の要件を
充たした場合、土地の相続税評価額が80%評価減できる特例制度です。
これにより、今回は自宅土地4,000万円が80%評価減の800万円で評価
されることになります。
したがって、遺産総額1億4千万円は1億800万円で評価されることになり、
これに係る相続税額総額は920万円で済むことになります。
次に自宅の売却に係る譲渡税です。
【1】と異なり、次男は母親の自宅に居住しているわけではないので、
売却益の3,000万円が控除できる特例が使えません。
また、税率についても所得税、住民税 併せて20%で計算します。
一方、相続税申告期限後3年以内に土地建物を売却した場合、相続税
の一部を取得費に加算できるという特例があります。
上記の場合、約340万円を取得費に加算することが可能です。
【1】と同様に5,000万円で売却できた場合、所得税・住民税は以下の
金額になります。
課税所得:5,000万円−(5,000万円×5%+150万円+340万円)
=4,260万円
所得税・住民税:4,260万円×20%=852万円
一方、課税所得が4,260万円増えますが、会社員である次男の社会保険
は給与所得の増減のみ影響を受けます。
したがって、母親の場合とは異なり、社会保険料は増額しないことと
なります。
こちらも整理してみましょう。
相続後に売却した場合の健康保険料を含む納税負担額は下記のとおり
となります。
〇所得税・住民税:852万円
〇健康保険料:0円
〇相続税:920万円
合計額1,772万円
【3】節税額
相続前に自宅を売却した場合と相続後に自宅を売却した場合の節税額
は下記のとおりとなります。
〇所得税・住民税:(相続前売却)224万円→(相続後売却)852万円
〇健康保険料:(相続前売却)52万円→(相続後売却)0円
〇相続税:(相続前売却)1,712万円→(相続後売却)920万円
〇合計額(相続前売却)1,988万円→(相続後売却)1,772万円
◎節税額:相続【後】に売却したほうが合計216万円節税になる。
上記の例の場合、相続前に売却することは譲渡税に係る優遇制度は
あるものの、相続税に係る優遇制度の方が節税に貢献する額が大きい
ということが言えます。
したがって、譲渡税に係る優遇制度があるからといって、相続前に
処分するのではなく、相続後に売却した場合は相続税に係る優遇制度
が使えるのか、それによって相続税はどれくらい節税になるのか、
比較計算することが必要になります。
いかがでしょうか?
上記の例では相続税の優遇制度である「小規模宅地等の減額」の適用
があったので、相続【後】に売却したほうが有利となりましたが、
この適用がなければ、逆に相続【前】に売却したほうが有利となります。
また、例えば相続【前】に売却したお金の一部で賃貸アパートを購入
すれば、相続税はさらに節税になります。
特に自宅に係る税制については所得税、住民税、相続税、贈与税等、
各税目ごとに様々な優遇制度があり、適用要件も複雑です。
したがって、相続対策の一案として自宅の処分を検討しているならば
専門家(=税理士)に相談してから進めましょう。
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