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件名:あらゆる節税対策を紹介する」メルマガ◆連年贈与の誤解とは?
日付:2014/12/15
差出人:石井税理士事務所 

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さて、早いもので今年もあと半月ほどになりました。

さて、この時期になると「駆け込みで〇〇を行う」ことがよくあります。

〇〇にはいろいろなことがあるかと思いますが、税務に関するものとし

ては「贈与」があります。

実際、12月の決まった時期に、贈与税の基礎控除額の110万円を

子供や孫に贈与する方もいます。

今回は毎年一定額を続けて行う贈与について、国税局が公表している

相談事例を紹介しながらお話ししたいと思います。


さて、【連年贈与】という言葉をご存知でしょうか。

この言葉の意味を勘違いされている方が少なくありません。

まず、これについて下記の相談事例をご覧ください。



【相事例1843「誤りやすい事例集」(贈与税102)】


〔誤りやすい項目〕

 毎年110万円ずつ、10年間贈与する契約をした場合の贈与課税の取り扱い


〔誤った認識〕

 各年ごとの贈与となり、各年とも基礎控除以下の贈与であるので申告不要


〔正しい答え〕

 110万円×10年間の定期金の贈与となり、定期金の評価を行い、

 贈与年分で一括課税



上記のように、毎年110万円ずつ、10年間にわたって贈与する場合

で、その取決め(=贈与契約)を最初に行うことを【連年贈与】と言い

ます。


最初の契約時点で、すでに110万円×10年間の贈与が確定しているの

で、贈与契約があった時において110万円×10年間=1100万円分

の贈与を受ける権利が成立し、贈与税が課税されることになってしまいます。


しかし、この認識を誤ったものとして捉えてしまう方が多いようです。

「毎年110万円の定額贈与をすることは【連年贈与】にあたり危険である」

と誤認しているのです。


このような方は以下のような贈与を行ったりします。


 ○毎年贈与額を変えている

 ○毎年贈与日を変えている

 ○あえて基礎控除額110万円を超えて贈与を行い申告納税している


しかし、このような贈与は【連年贈与】の回避とは全く関係がありません。


【連年贈与】はそもそも「最初に連年贈与を行う契約があった」ことが前提

になるからです。

そのような契約がなければ【連年贈与】にはあたらず、なにも必要以上に

保守的に贈与を行うこともないのです。



贈与を正しく行うにはもっと、大事なことがあります。

では、次の相談例をご覧ください。



【相事例0728 未成年者である孫への贈与】


〔問〕

 私(祖父)は、相続税対策のため10歳の孫に対し毎年110万円ずつ

 贈与し、孫名義の預金口座に振込みをし、将来この資金で不動産を取得

 させたいと考えている。

 このような連年贈与は贈与税の課税問題が生じるか。


〔答〕

 預貯金を管理運用しているかどうかの事実認定による。

 贈与の時期について、書面によるものについてはその契約の効力の発生

 した時により、書面によらないものについてはその履行の時によるもの

 とする。

 しかし、預貯金の場合、預金口座の名義を変更したり、預金口座に金銭

 を振り込んだという事実だけでは、贈与があったものとは考えられない。

 実際に名義人が、その預貯金を管理運用しているかどうかの事実認定を

 行い、実際に贈与しているか、それとも単に名義を借りているだけかを

 判定することになる。

 なお、「毎年110万円ずつ10年間現金を贈与する」という契約を結ん

 だ場合は、契約締結時点で有期定期金給付契約を結んだことになり、定期

 金に関する権利の評価を算定して贈与税の課税がある。


まず、〔答〕の「なお、「毎年110万円ずつ・・・贈与税の課税がある。」

の内容は最初にご紹介した相談例です。これが【連年贈与】に該当します。


さて、この相談例では、「預貯金を管理運用しているかどうかの事実認定に

より贈与税を課する」と回答しています。


ここでポイントを整理してみます。

〔答〕では以下の項目について問題がないかを指摘しています。


 〇贈与契約書を作成する→贈与の事実認定を明確化する

 〇預貯金の場合、振込を行う→贈与事実を残す

 〇通帳、印鑑等の管理を受贈者(未成年者の孫の親)が行う

 →預貯金の管理運用を受贈者にさせる


そして、たとえ贈与契約書があり、振込の事実があっても、通帳・印鑑

の管理運用を贈与者である祖父が行っていれば贈与の事実は認めない、と

回答しています。


贈与の事実を認めないということは、預貯金の名義が孫のものであって

も、その預貯金は祖父の財産とみなされることになってしまいます。

このような預貯金は祖父の相続時に【名義預金】としてみなされ相続財産

として課税の対象にされることになります。


贈与契約書の作成や振込の事実は確かに贈与事実があった一証拠になり

ますが、それは絶対的な贈与事実の認定証拠にはならないのです。

通帳は抱え込まず、印鑑も名義人ごとに分けて作成し、孫の親(子)に

管理運用させることが何より大事というわけです。
 

上記は相談例でしたが、実際に訴訟になった事例を2つ紹介しましょう。


平成26年4月25日東京地裁での判決です。

相続対策のため、父は毎年のように贈与税の基礎控除額の範囲内で子・孫

に贈与を行っていたましたが、父の相続時に以下の事実が明るみにでました。


 〇預金証書は被相続人である父が保管していたこと

 〇住所変更等の手続きは父が行っていたこと

 〇生前に父が相続人である子名義の預金を一部解約し、自分の口座に入金

  していたこと


裁判所は上記の事実から贈与事実があったとは認められないという判断をし

ています。

そして、贈与事実がない以上、贈与は有効に成立せず、父が贈与した相続人

名義の預金は父の相続財産に含まれるという判断をし、納税者敗訴の判決が

下されています。


一方、納税者が勝訴している例もあります。

平成25年12月10日国税不服審判所の裁決です。

このときは上記の敗訴例とは逆に、預貯金口座の管理は相続人である子・孫

が管理を行い、印鑑についてもそれぞれ別々の印鑑を作成し、しっかりと

受贈者側で管理運用をしていたのです。


 いかがでしょうか?


子供名義の預貯金の管理を親がずーっと行っている場合は意外に多いのでは

ないでしょうか。

計画的に毎年贈与を続けていたとしても、方法を誤ってしまうとそれが全く

の無駄に終わってしまうこともあるのです。

そうならないように、正しい贈与を実践してみてくださいね。


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