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件名:◆「あらゆる節税対策を紹介する」メルマガ◆名義預金に贈与は成立しない?
日付:2014/07/28
差出人:石井税理士事務所 

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昨日の日経新聞によると、平成27年1月からの相続税の改正により

相続税の課税対象者が倍になり、東京都内では2人に1人は相続税の

申告が必要になる見通しだそうです。

私もここ最近は相続対策に関する相談が多くなっておりその対応に

追われています。


ところで、相続対策を進めるうえで欠かせない手法として『贈与』

があります。

相続税は増税になりますが、贈与税については様々な優遇措置が取

られています。

つい先日も「教育資金贈与信託の非課税制度」を2年〜3年延長する、

という記事が載っておりました。


贈与は計画的に行うことで確実に相続対策になりますが、一方で贈与

の認識不足のために、誤ったやり方をしている方が非常に多いのも事実

です。

特に現金・預貯金の贈与についてはその方法を誤って実行したがために、

税務調査で否認を受ける例があとを絶ちません。


国税庁の発表によると平成24年7月から平成25年6月までの間に実施した

相続税の税務調査のうち、申告漏れ相続財産の金額の内訳は、現金・

預貯金等1,236億円が最も多く、続いて土地560億円、有価証券431億円

の順となっています。


現金・預貯金の申告漏れについては単なる申告漏れの他に


 ○ 相続直前に引き下ろした預貯金

 ○ 妻・子・孫名義の預貯金

 ○ 親族への贈与


といったものも含まれています。


つまり、過去において行った贈与は贈与時ではなく、贈与者が亡く

なった後の相続税の調査によって調査対象となる場合が多いのです。


さて、一番泣くに泣けないのが、親が子供や孫に毎年贈与税の基礎

控除の範囲でキチンと贈与してきたつもりだったのに、税務調査で

「名義預金」と指摘され、被相続人の財産として否認を受けてしまう

ことです。

このような例は【非常に】多く見受けられます。


では、なぜこのようなことが起こってしまうのでしょうか?


それは【贈与】というものに対する認識の甘さにあります。

一般的には贈与は「タダでものをあげる」という認識しか持って

いない方がほとんどですが、【贈与は契約】であることをしっか

り認識しておくことが大切ことです。


ちょっと固い話しになりますが、民法では「贈与は、当事者の一方

が自己の財産を無償で相手方に与える意思を表示し(片務)、相手方

が受諾する(諾成)ことによって、その効力を生ずる」と規定されて

います。

つまり、贈与を受けた側がその事実を知らなかったり、贈与を受けた

財産を自由に処分したり運用したりできなければ、法律的には贈与が

履行されたとは認めてくれないのです。


ところが「渡してしまうと無駄遣いするといけないので預かっておく」

といった理由で、親や祖父母なとが贈与をしたつもりの妻・子・孫名義

の預貯金を保管していることがよくあります。


このような場合、実質的に子や孫は自由に処分や運用をできません。

それどころかその事実を知らないこともあります。

こうなると当然【贈与は成立していない】ことになります。

贈与が成立していない以上、その預貯金の所有者は贈与者=被相続人

ということになり、妻・子・孫名義の預貯金は相続財産として相続税

の課税対象になってしまうことになります。


「6年(悪質な場合は7年)経てば時効成立で大丈夫でしょう?」

とおっしゃる方がいます。


確かに贈与が成立していればそのとおりですが、この預貯金はそもそも

【贈与は成立していない】のです。

したがって、何年経っていても、時効にはならないのです。


では、「贈与税を少し発生させる程度に資金を移動させ、贈与税の申告

をしていれば、贈与は成立しているか」と言えば、そういうわけでもあり

ません。


平成19年6月26日の国税不服審判所の裁決では、


 ○ 贈与税の申告及び納税は1つの証拠にすぎない

 ○ 贈与が本当にあったかどうかは【具体的な事実を総合勘案して判断する】

 
との裁決が出されています。


では、具体的に何をすればよいのか?


次のような手続きをしておくとよいでしょう。


 @贈与者の銀行口座から贈与する金額を引き出し、受贈者の

  銀行口座に振り込みをする。


 A受贈者は自己名義の口座を作っておく。

 (開設申込みは必ず本人(未成年の場合は親権者)の自署押印によること)


 B受贈者又はその親権者が通帳、印、証書などを保管する。

  届出印は必ず贈与者のものとは別にしておく。


 C暦年贈与を選択している場合で贈与金額が110万円を超えるときは、

  必ず申告して贈与税を納付する。


 D贈与する都度、贈与契約書を作成しておく。この場合、贈与者と

  受贈者が贈与契約書に自署押印をしておく。

 
 自署押印する意味は税務調査で筆跡鑑定まで行う場合があるからです。


ところで、「すでに過去に贈与を受けているが申告しないまま、相続

が発生してしまった」というご相談をうけることも【よく】あります。

このような場合はケースバイケースですが、まずそもそも贈与が成立

していたかについてを確認します。

そのうえで贈与として期限後申告をするか、相続財産として相続税の

申告をするかを判断します。


そして、贈与自体が成立していれば時効が成立することもあり得ます。


記憶に残っている方も多いと思いますが、鳩山由紀夫元首相が実母から

巨額の資金提供を受けていた問題で、鳩山氏が過去8年間分の贈与税、

約6億1千万円を納付したことがありました。

しかし、この時国税当局は、鳩山氏側に平成14年、15年分の贈与税分

約1億3千万円については、「悪質な仮装・隠蔽(いんぺい)行為はな

かった」との判断から、時効が成立したとして返還したのです。

鳩山氏は長年申告を怠った結果、1億3千万円を節税したことになります。


いかがでしょうか?


誤解しないで頂きたいのですが、贈与税を支払わないですむ贈与について

助長しているわけではありませんし、評価する気もありません。


しかし、「名義預金なのか?贈与なのか?」という問題については誤った

理解をしている税理士も多く、ましてや一般の方はほとんど正しく理解し

ていません。

それは、膨大な金額の税務調査の否認金額が物語っています。


名義預金の問題はこれからも最も多い税務否認項目になるでしょう。

そうならないために、今回のメルマガをぜひご参考くださいね。




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