件名:◆「あらゆる節税対策を紹介する」メルマガ◆消費税増税前に住宅を買うべきか? 日付:2013/08/12 差出人:石井税理士事務所
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先週、税理士試験が行われました。私は4年前に試験に合格したの
ですが、この試験を10年以上受け続けました。
朝4時に起きて出勤前に勉強、昼休みも勉強、夜は仕事で残業、休
日は朝から晩まで専門学校の自習室で勉強・・・・・・。
今思うと一生で一番勉強した時期ですね。合格したときは合格証書
を手に涙したものです。毎年この時期になると当時を思い出し、初
心に帰って仕事に取り組むよう心がけています。
では、本日のメルマガに入りましょう。
今回は「消費税増税前に住宅を買うべきか?」というテーマです。
ご承知のとおり、消費税については来年2014年4月に税率を8%に、
さらに翌2015年10月に10%に引き上げられる方針で話しが進んでい
ます。
住宅のような大きな買い物を検討されている方は、消費税増税前に
買うべきか悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
これについては下記の項目を比較検討して判断してみます。
◯消費税増税分
◯住宅ローン控除増額分
◯金利上昇分
まず住宅の消費税は内税扱いです。販売価格の中に含まれるために
わかりにくいですが、土地代にはかからず、建物代だけが課税の対
象となります。
例えば、販売価格4000万円の物件で、土地代1600万円・建物代2400
万円とすると、現在の消費税は2400万円の中に5%分(114万円)が
含まれます。それが来年4月以降には、8%分(183万円)が徴収され
るので、それまでに購入しなければ、消費税69万円アップを覚悟し
なければなりません。
いま不動産業界全体で「駆け込み需要」が起きているのはそのよう
な理由によるものです。
また、建設中の住宅は増税の半年前までに契約すれば、入居日(引き
渡し)が増税後になっても現行の税率が適用されます。その特例に従
うと、未完成の物件は今年の9月末までじっくりと選んで購入を決めて
も消費税は5%のままとなります。
では、増税適用前に購入すれば得なのかというと、そうとも言い切れ
ません。安倍政権が住宅ローン減税の延長・拡充を打ち出したから話
が複雑になりました。
住宅ローン減税とは、ローンの年末残高の1%が10年間継続して所得
税から控除されるというもの。本来ならば、制度は今年末で終了する
はずでしたが、2017年末まで延長された上、最大控除額が現行の200万
円から、来年4月の消費増税以降に400万円に倍増することとなりました。
それでは、増税前に買うべきか、増税後に拡充されるローン控除を使う
べきなのか、一体どちらが節税になるのか?
具体的に例を挙げて見てみましょう。
※なお、今回は計算過程をわかりやすくするため外税扱いで計算します。
◯物件価格:3000万円(建物2000万円)
◯住宅ローン額:3000万円
◯金利:年1.5%
【1】消費税増税前に購入した場合
@消費税額2000万円×5%=100万円
A住宅ローン控除額:200万円
B金利負担額:727万円
実質負担額@—A+B=627万円
【2】消費税増税後に購入した場合
@消費税額2000万円×8%=160万円
A住宅ローン控除額:約257万円
B金利負担額:727万円
実質負担額@—A+B=630万円
【3】節税額
【2】−【1】=3万円(消費税増税前に購入した場合が有利)
ほとんど、負担額に差異はないのですが、増税前に購入したほうが節税
となります。 実際にシミュレートしてみると、増税前に買うべきなのは借入金2000万円
以下の物件で、3000万円以上になるとむしろ8%に上がる来年4月以降に減
税効果が高くなります。さらに高額な1億2000万円以上になると増税前に購
入したほうが節税になります。
ただし、これには大きな落とし穴があります。それは「金利負担額」を無
視したシミュレーションだということです。
上記の例では、消費税増税前も増税後も金利を年1.5%で計算しています
が、消費税増税後の金利は現在の金利よりも上昇する可能性が高く、これ
によって実質負担額が大きく変わってきます。
実際、2013年の春頃から住宅ローンの金利は上昇の流れに変わっています。
この2ヶ月間でも10年固定金利で累計0.4%程度も金利が上昇しています。
(ただ、8月以降も住宅ローン金利が上昇すると予想していましたが、2013
年8月は一部の銀行の住宅ローンの10年固定金利は下がったようです。)
一般に金利は景気動向と連動します。景気が良くなれば上昇し、悪くなれば
低下します。
アベノミクス効果があれば金利は上昇する可能性があるということです。
では、実際にどれくらい金利負担額が増えるのか上記の例で計算してみま
しょう。
◯金利:年1.5%→支払利息総額727万円
◯金利:年1.6%→支払利息総額779万円(52万円負担増)
◯金利:年1.7%→支払利息総額832万円(105万円負担増)
◯金利:年1.8%→支払利息総額885万円(158万円負担増)
金利が0.1%上昇するだけで52万円の増額となります。0.3%上昇すれば
158万円もの負担増となります。
金利の年0.1%アップは消費税の3%税率アップとほぼ同様の負担増にな
るということになります。
ですから、住宅購入を検討している場合、消費税の増税負担を考えるよ
りもむしろ、金利動向に着目するほうが重要と言えます。
いかがでしたでしょうか?
ただし、念のために申し上げますが、「増税・金利の損得だけが住宅購入
の判断材料ではない」ということです。
新築マンションに関していえば、ゼネコンなど建設会社も仕事が立て込ん
でいるようで、強気の工事請負価格が提示されることが多くなってきたと
いいます。
こうした環境で、その増額分を価格に反映しないように努力してきたマン
ションデベロッパーが、さらなる上昇基調の高まりから、単価アップせざ
るを得ないような状況になっているようです。
消費税増税という観点からの慌てた駆け込み購入には慎重になった方がい
いと思いますが、最近の住宅価格の上昇ムードは避けられそうもなく、こ
の傾向はしばらく続きそうです。こう考えると、購入予定者は早めの検討
・決断をしたほうが良いと思っています。
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