件名:◆節税対策メルマガVol.137◆生前贈与が無意味になる? 日付:2021/01/18 差出人:石井税理士事務所
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『「あらゆる節税対策を紹介する」メルマガ』Vol.137
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今年最初のメルマガになります。
本年も引き続きよろしくお願いいたします。
さて今回は久しぶりに相続関連のお話しをしたいと思います。
昨年11月、富裕層にとって気になるニュースが報じられました。
「自民党税制調査会の甘利会長が幹部会合後、記者団に対し相続税と
贈与税の一体化に向けた見直しに意欲を示した」というものです。
これにより例年12月に発表される令和3年度税制改正大綱が注目
されたものの、今回は特に改正を行う内容は盛り込まれませんでした。
しかし「諸外国の制度を参考にしつつ、相続税と贈与税を一体的に
捉えて課税する観点から、現行の贈与税制の在り方を見直すなど、
資産移転の時期に中立的な税制の構築に向けて本格的な検討を進める」
との記載があり、今後相続税と贈与税の一体化に向けた法改正が
進められるはずです。
簡単に言えば、今まで相続対策の王道として行われていた生前贈与が
使えなくなるということです。
現行制度では贈与税は「暦年贈与」と「相続時精算課税贈与」の2つの
制度がありますが、一般的に生前贈与として認知されているのは
「暦年贈与」の制度です。
暦年贈与は年間110万円まで贈与税が課税されないのでコツコツと
贈与を続けていけば、かなりの相続税が節税できる仕組みとなっています。
例えば1億円の財産を毎年110万円の生前贈与を20年間行った場合と、
全くしなかった場合の相続税は以下のとおりです。
相続人は子1人とします。
(1)全く贈与しなかった場合
遺産総額:1億円
相続税額:1,220万円
(2)110万円の生前贈与を20年間行った場合
遺産総額:7,800万円
相続税額:640万円
このとおり生前贈与をコツコツ続けることで相続税の納税額に
1,220万円−640万円=580万円もの差が出てくるわけです。
今回浮上した見直し案は、このように財産の移転時期によって
納税額に差が出る課税方式は不公平だから廃止するという考え方
によるものです。
令和3年度税制改正では見送りとなりましたが、具体的にどのような
かたちで実現するかは以下の課税方式が検討されてているようです。
(1) 一生累積課税方式
相続が発生した際、その時点で残された遺産と過去に行われた
すべての贈与額の合計を相続税の対象とする課税方式。
アメリカの連邦遺産税・贈与税でこの方法がとられており、
相続税と贈与税が一体的に課税させれる仕組みになっています。
(2) 一定期間累積課税方式
相続が発生した際、その時点で残された遺産に相続開始前の
一定期間の贈与額を加算して相続税を計算する課税方式。
諸外国では、イギリス・ドイツ・フランスなどがこの制度を導入
しており、それぞれ累積期間は以下のとおりりです。
・イギリス:7年 ・ドイツ :10年 ・フランス:15年
一生累積課税方式は実は日本でも導入されていた時期(昭和25年〜28年)
がありましたが、過去の贈与に関する資料情報を管理しなければならない
点で非常に煩雑であり税務執行が困難であるなどの理由により廃止された
経緯があります。
そうすると相続開始前の一定期間贈与を相続財産に加算する期間を
延長する(現状の日本は累積期間3年)一定期間累積課税の強化を
図る方式が採用される可能性が高いです。
なので今後生前贈与を行って相続税対策をするのであれば
早い段階から110万円の非課税枠にこだわらない贈与を実行したほうが
良いです。
確かに110万円までは贈与税は非課税ですが、長期間贈与を
続けなければなかなか財産は減りません。
実際に110万円を超えた贈与を行った場合の贈与税と税率は以下のとおりです。
・200万円贈与→贈与税9万円(税率4.5%)
・300万円贈与→贈与税19万円(税率6.3%)
・400万円贈与→贈与税33.5万円(税率8.375%)
・500万円贈与→贈与税33.5万円(税率10.6%)
前述した110万円の贈与を20年間行った場合の相続税と税率は
相続財産7800万円→相続税640万円(税率8.2%)です。
そうすると400万円贈与した税率(8.375%)とほぼ同じ。
実は贈与税率は思っている以上に高くはないのです。
であれば相続税と贈与税の一体課税が実現される前に
200万円、300万円、400万円の贈与を早い段階で進めたほうが
節税になる可能性が高いのです。
いかがでしょうか?
相続税と贈与税の一体課税は近い将来【確実に実現される】と
噂されています。
現在コツコツと生前贈与を行っている方やこれから生前贈与を
検討している方は、110万円にこだわらない生前贈与を検討してみましょう。 ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
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