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件名:◆節税対策メルマガVol.121◆税務調査で威力を発揮する抗弁書とは?
日付:2019/10/15
差出人:石井税理士事務所 

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   『「あらゆる節税対策を紹介する」メルマガ』Vol.121

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さて今回は税務調査のお話しです。

法人の税務調査は主に春と秋の2回行われますが、

現在は秋の税務調査の真っ最中です。

私の事務所でも数社税務調査が入りましたが、

その中で税務署と真っ向対立した案件がありました。

最終的にはこちらの要望が認められたのですが

そこで威力を発揮した「抗弁書」についてお話ししたいと思います。


問題となった税務署の指摘内容は以下の内容でした。

「廃材の売却もれがあったので、これについて重加算税を課します。」

電線とか作業屑などの廃材をスクラップ屋に持っていて換金したのに

売上(雑収入)計上されていなかった、という指摘事項です。

廃材売却は基本的に現金決済になるので、領収書の提出もれから

売上計上もれになることが時々あります。

廃材に限らず売上を現金回収している場合はもれやすい項目です。


問題になったのはこの売上もれについて「重加算税を課す」と税務署が

言ってきたことです。「重加算税」はいわば「脱税」を意図したものに

対して課される重い罰金です。

納税者サイドからすれば、いわば税務署のブラックリストに載ることになり、

犯罪者扱いされて申述書(始末書のようなもの)を書かされたりするなど、

良いことなどひとつもないので重加算税だけは何としても回避しなければ

なりません。


ところで重加算税を規定している国税通則法には以下のように記載されています。

「過少申告加算税の規定に該当する場合において、納税者がその国税の

課税標準等又は税額等の計算の基礎となるべき事実の全部又は一部を

隠ぺいし又は仮装し、その隠ぺいし又は仮装したところに基づき納税

申告書を提出していたときは、過少申告加算税に代え重加算税を課する。」


税法上は「【仮装・隠ぺい】した場合は重加算税を課する」と記載されて

いますので【仮装・隠ぺい】がなければ重加算税を課されないことになります。

【仮装・隠ぺい】とは要するに【故意に】やったかということです。


過去にも何度か税務調査で指摘されたことがありましたが、特に現金の

売上計上もれについては、税務署は重加算税を課す傾向があります。

しかしこれは違います。

売上計上もれは【仮装・隠ぺい】の事実があったときに初めて重加算税

の対象となります。なので【故意に】やっていなければ重加算税の対象

とはならないのです。


過去の裁決例から見てもそれは明らかなのですが、税務調査官は形式面の

不備(例えば領収書の廃棄など)だけを指摘し重加算税を課すことがあります。


今回の税務調査でも担当した調査官は領収書を廃棄したことなどを指摘し

「このような場合は今まで全て重加算税を課しています。」

と平然と厳しい口調で言いました。


そうであれば今まで重加算税の指摘を受けた納税者は全員【故意に】

売上もれを計上しなかったということになります。

しかし実際には納税者側が反論せず、言われるがまま修正に応じた

案件も少なからずあったのではないかと思います。


今回の調査では3年分廃材の売却もれがあったことを指摘されました。

実際にスクラップ屋に調査官が出向いて調べて判明しました。

しかし実際に廃材を処分した社長は

「会社の売上になるという認識がなかった」と言います。

つまり「知らなかった・故意に売上を隠していたわけではない」と

言い切ったのです。


調査官は当然「それはおかしいだろう」と詰め寄ります。

まあ普通に考えれば【故意に】と思われてもおかしくないですね。

私も初めて税務調査でその事実を知って最初は「ありゃりゃ・・・」

と思っていました。

しかし社長から詳しく話しを聞くと、どうやら本当にその認識が無かったようです。

当然【故意に】やったわけではないので「重加算税は納得できない」と。

そこで「では『抗弁書』を提出して反論しましょう。」ということになりました。

口頭での話し合いでらちがあかないときは文面で対抗するのが得策です。

なぜ修正に応じられないのか、税法解釈や過去の裁決事例をあげた

反論根拠を文書にした「抗弁書」を作成して提出するのです。


税務調査の場合、修正内容の判断は下記のような流れで決定されます。

 調査官→統括官→審理

調査官は実際に税務調査を行った担当者です。

統括官はその上司になります。ここまでが現場サイド。

大体はここまでで修正内容がほぼまとまるのですが、

最終的には「審理」という、税のスペシャリスト部門が課税判断をします。

審理では税法・通達・裁決等と照らし合わせ、今回の修正内容に問題ないか

をチェックしていきます。


このようにまず税務調査の折衝・交渉は実際に税務調査を行った調査官と行います。

しかし、らちがあかなければ上司である統括官と交渉します。

今回の場合も調査官の指摘は納得できないため、統括官と交渉すべく「抗弁書」

持参で税務署に行ったわけですが・・・。

統括官は「抗弁書」をチラッと見ただけで読もうとせず、主張をまげません。

こちらとしては「抗弁書」を熟読・精査してくれないことには話しが

始まらないので話しあいは平行線のままです。

1時間すったもんだのあげく、ようやく「抗弁書」を審理に判断して

もらおうということになり・・・、重加算税は回避されることになりました。


 いかがでしょうか?


前述したとおり審理は税のスペシャリストです。

現場サイドで行う折衝・交渉をする部門ではないので、こちらの反論根拠を

文書化して精査してもらうことになります。

それにはそもそも重加算税とはどのような場合に課されるのか、

今回はその要件に該当するのか、過去の類似裁決事例ではどのような

判断がなされたのか、等を調べた上で反論していけば良いことになります。


まあ言うのは簡単ですが、実際に「抗弁書」を作成して反論するのは

骨が折れる作業です。税のスペシャリストを納得させる反論根拠を

挙げていかなければなりませんので簡単にはいきません。

しかし勝てる根拠が少しでもあれば、大きな威力を発揮することもあるのです。
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