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件名:◆節税対策メルマガVol.108◆相続時精算課税の重大な欠点(失敗しない贈与3)
日付:2018/09/18
差出人:石井税理士事務所 


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   『「あらゆる節税対策を紹介する」メルマガ』Vol.108
  (毎月第3月曜日(月曜日が祝日の場合は火曜日)配信)

     発行:石井税理士事務所
 
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さて今回は「失敗しない贈与」の3回目をお届けしますす。

今回のテーマは相続時精算課税制度です。


相続時精算課税制度は平成15年に創設された制度で2,500万円まで

の贈与であれば贈与税が非課税という制度です。

一方で名前のとおり、「相続時」には贈与した財産は相続財産として

「精算」しなければなりません。

つまり、贈与しても相続があれば相続時に再計算する必要があるので、

贈与税は非課税でも相続税は課税になるわけです。


一般的に言われている相続時精算課税制度のメリットとデメリットは

以下の通りです。


【1】メリット

 (1)2,500万円まで非課税で贈与可能

 (2)早期に多額の財産を贈与することができる

 (3)収益物件の贈与は相続税対策になる可能性がある

 (4)値上がりが期待できる財産を贈与することで相続税対策になる

 (5)相続争いが防げる

 (6)生前贈与で評価額が低くなる


【2】デメリット

 (1)一度選択したら撤回できない

 (2)暦年贈与が使えなくなる

(3)申告の手間が増える

(4)小規模宅地等の特例が使えなくなる

 (5)生前贈与を受けた財産は物納できない

 (6)コストが高くなる


メリット・デメリットはいろいろあるのですが、実行する場合はデメリット

について正しく理解しておかないと、大きな損失を受けることがあります。

特にデメリットの(2)と(4)についてはかなり大きなダメージを受ける

ことがありますが、今回は(4)の小規模宅地等の特例が使えなくなる

デメリットについて詳しく見てみます。


小規模宅地等の特例とは相続時に一定の要件に該当すれば土地の評価額が

50%又は80%減額される制度です。

特に自宅の敷地については80%減額されますので、例えば土地の評価が

5千万円であれば4千万円減額できるわけです。

仮に税率を20%と想定した場合、4千万円×20%=800万円の相続税が

減額されることになるので非常に節税効果が高い特例制度になります。


しかし相続時精算課税を使って例えば上記のような自宅の土地を贈与して

しまうと、相続時にこの特例制度が使えなくなってしまうのです。

なお暦年贈与により贈与した場合でも同様に使えなくなります。


なので、相続時精算課税を使って土地を贈与する場合は、相続時に

小規模宅地等の特例を使う必要があるのか無いのか見極めなければなりません。


では実際にどれだけ税金に差が出てくるのか見てみましょう。


【前提条件】

 ○自宅の土地2500万円を相続時精算課税で長男に贈与

 ○贈与者:母(父親は他界)

 ○法定相続人:子2人(長男・長女)

 ○遺産総額4千万円、6千万円、8千万円、1億円の場合で

  相続時精算課税を行ったときと行わなかったときの

  税金の合計(贈与税+相続税)を比較計算してみます。


【1】遺産総額4,000万円の場合

 ○相続時精算課税あり

 (1)贈与税:0円
 (2)相続税:0円
 (3)贈与税と相続税の合計:0円 

 ○相続時精算課税なし

 (1)贈与税:0円
 (2)相続税:0円
 (3)贈与税と相続税の合計:0円 


【2】遺産総額6,000万円の場合

 ○相続時精算課税あり

 (1)贈与税:0円
 (2)相続税:1,800,000円
 (3)贈与税と相続税の合計:1,800,000円 

 ○相続時精算課税なし

 (1)贈与税:0円
 (2)相続税:0円
 (3)贈与税と相続税の合計:0円 


【3】遺産総額8,000万円の場合

 ○相続時精算課税あり

 (1)贈与税:0円
 (2)相続税:4,700,000円
 (3)贈与税と相続税の合計:4,700,000円 

 ○相続時精算課税なし

 (1)贈与税:0円
 (2)相続税:1,800,000円
 (3)贈与税と相続税の合計:1,800,000円 


【4】遺産総額1億円の場合

 ○相続時精算課税あり

(1)贈与税:0円
(2)相続税:7,700,000円
(3)贈与税と相続税の合計:7,700,000円 

 ○相続時精算課税なし

(1)贈与税:0円
(2)相続税:4,700,000円
(3)贈与税と相続税の合計:4,700,000円


ごらんのように遺産総額が少なく、相続税がかからない状況であれば

影響はありませんが、遺産総額が多ければ多いほど、相続時精算課税

による贈与を行わないほうが税金は少なくなります。

遺産総額1億円では300万円も税金に差が出ることになります。

小規模宅地等の特例の節税効果のインパクトは大きいのです。


 ○そもそも相続税はかからないのか?

 ○小規模宅地等の特例の適用がある土地なのか?

 ○相続税がかかる場合、相続時精算課税で贈与すべきなのか?


上記の点について税理士とよく相談してから実行したほうが良いです。


 いかがでしょうか?


相続時精算課税制度を利用する場合は土地などの不動産を贈与する場合

が多いです。

なので、税理士に相談する前に登記の専門家である司法書士に依頼し、

登記を済ませてから税理士に依頼される方がいらっしゃいます。

司法書士の方も小規模宅地等の特例については言及せずに登記を実行

してしまうことがありますので、まず税理士に相談してから司法書士

に依頼するようにしたほうが良いです。


しかもこの制度のやっかいな点はデメリット(1)にあるように

「一度選択したら撤回できない」ことです。

あとで気づいてももう遅いので充分検討したうえで実行してくださいね。


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