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----- 石井税理士事務所 -----


件名:◆節税対策メルマガVol.94◆1年がかりの税務調査が終結しました
日付:2017/07/18
差出人:石井税理士事務所 




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   『「あらゆる節税対策を紹介する」メルマガ』Vol.94
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さて、今回のお話しは前々回のメルマガの続きになります。

昨年の夏に始まった相続税の税務調査がようやく決着しましたが、

最後まで税務署と争った論点についてお話ししたいと思います。


 争った論点は「広大地の評価」についてです。


広大地とは「その地域における標準的な宅地の地積に比して

著しく地積が広大な宅地で、都市計画法第4条第12項に規定する

開発行為を行うとした場合に公共公益的施設用地の負担が必要と

認められるもの」をいいます。


簡単に言えば広すぎて容易に処分できないような土地のことを言います。


例えば1,000平米を越えるような広い土地を相続した場合、

これを売却しようとしてもなかなか買い手がつきません。

そのため、相続人は戸建開発業者などへ売却することになります。


売却された土地は、開発業者が一般の家庭が購入しやすいように

適当な広さに区画割りし、土地の中に道路(私道)等の開発を行い、

一般住宅用地として販売していきます。


私道の部分には家は建てられませんので、この部分はどうしても

使用制限される土地になってしまいます。

このような土地を「潰れ地」と呼びますが、この部分は利用価値

がない土地になりますので当然土地の価値は低くなります。

したがって、そのような潰れ地が考慮された低い金額で売却

することになります。


潰れ地が生じるような広い土地が相続されたた場合、

手頃な広さの土地と比べると、売却時の1平米あたりの単価は

明らかに安くなります。

なので、相続税の計算でこのような土地を通常どおりに計算することは

非常に不公平な計算方法となってしまいます。

そのため、広大地に関しては、売却時に生じる土地の価値の下落分を

考慮してもいいことになっているのです。


この「広大地評価」が適用されると、通常の評価より40%〜60%

評価を低くすることができます。

もともと広い土地なので、普通に評価計算すると1億円位になってしまう

ような土地もあります。この土地の評価が広大地として認定されれば

4千万円なることもあるわけです。


今回の税務調査ではこの「広大地評価」して申告した土地が問題視されました。。

税務署側は広大地否認を主張します。否認理由は以下のとおりです。


 ○すでに対象地には賃貸マンションが建っている。

 ○対象地の近隣はマンションが多数建築されている。


マンションが建っているということは戸建開発していないので、

いわゆる「潰れ地」は生じない。なので、広大地としては認められない。

という論理です。


ここで私は「抗弁書」を作成して反論しました。

反論内容は以下のとおりです。


 ○賃貸マンションは地主の都合で建てただけで、それがその土地の

  最有効使用の方法とは言えない。

 ○対象地の近隣はマンションが建っているといっても、

  多くは賃貸マンションで、分譲マンションではない。

 ○対象地の近隣は戸建開発もなされている。


マンションを建築すれば、確かにその敷地全体にマンションが建つので

私道等の「潰れ地」は生じません。


しかし、賃貸マンションと分譲マンションを同一視することはできません。

分譲マンション業者がその土地を買ってくれれば良いですが、

対象地は分譲マンション業者がマンションを建築するには中途半端な

広さであり、採算が取れないような土地です。


つまり、売却するには戸建開発業者に売却する可能性が極めて高くなります。

地主さんが賃貸マンションの建築を選択したのは、もともと土地を

所有していたから採算性があっただけのことです。

売却の選択をしたのであれば、戸建開発業者に売却することになりますので

通常の評価よりは低く買い叩かれることになります。


 しかし……税務署の返答は【NO】です。


そこで私は再度、反論することを依頼者に提案しました。

実はさらっと書きましたが、税務署と押し問答を繰り返して、

すでにこの時点で調査開始から10ヶ月が経過していました。

依頼者の方も長期にわたる税務調査にストレスを感じ、

半ばあきらめモードに入っています。


しかし、勝てる要素はあるのです。

なによりここで引き下がるのはとても悔しいです。

そこで依頼者の方に頼みました。

「もう1回反論させてください。これでダメだったら、修正申告には応じず

更正処分を受けて国税不服審判所に審査請求してもらいましょう。

それでもダメだったら税務当局に従いましょう。」

と提案しました。


ここまで調査が長引くと、たいていの方は精神的に参ってしまい

税務署の修正に応じてしまいます。

しかし、今回の依頼者の方は「わかりました。お願いします。」

とおっしゃって頂いたので、再度抗弁書を作成しました。


基本的な主張は変わりありませんが、提携している不動産鑑定士の方に

協力を仰ぎ、対象地の再調査と周辺の鑑定実績、戸建開発状況、

過去の広大地是認例で今回の案件に近いものを再び洗い出し、

前回以上の抗弁書を作成して税務署に提出しました。

税務署はその抗弁書を東京国税局の審理に回しました。

ここまで来ると税務署側も上層部の判断に委ねる状況になっています。


 回答は…………広大地【是認】でした。


1年近くにわたる税務調査がようやく終結した瞬間です。


 いかがでしょうか?


広大地の判断は意外と簡単なものが多いのですが、

今回のように税務署と対立するような案件もあります。

それは広大地の定義要件が曖昧で判断基準に迷うような

ことも少なからずあるからです。


平成29年度の税制改正ではこのような状況を鑑みて

広大地の適用要件が明確化されることになりました。

「広大地」という名称が廃止になり「地積規模の大きな宅地の評価」

という名称となります。

平成30年以降の相続について適用されますが、

現状より判定が容易になりそうです。


しかし、現行の広大地よりは課税強化がされ、評価額が高くなる

ケースが増えることが予想されています。

したがって、前回の相続で広大地評価を受けた方は

平成29年中に相続時精算課税制度等を利用して

贈与することも検討してみてはいかがでしょうか?

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