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件名:◆節税対策メルマガVol.92◆建物完成と同時に相続が発生したら?
日付:2017/05/15
差出人:石井税理士事務所 


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   『「あらゆる節税対策を紹介する」メルマガ』Vol.92
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前回のメルマガでもお伝えしましたが年末〜年明けにかけて

税務調査が立て続けに入り、かなりしんどい日々が続いておりました。

先日、昨年の夏に始まった相続税の税務調査がようやく決着しました。

今回はこの税務調査についてお話ししたいと思います。


今回の案件は相続対策のために建築した一棟マンションが、

丁度完成した頃に被相続人が亡くなったという、かなりレアな案件です。

税務調査では予想していたとおり、相続発生時に建物が完成していたか

が論点となりました。


 どういうことでしょうか?


相続税の計算上完成した建物の評価は固定資産税評価額で評価します。

また、未完成の建物は費用原価×70%で評価します。

費用原価とは簡単に言えば、工事代金のことです。

つまり、完成した建物と未完成の建物は評価の方法が異なり、

完成した建物の方がかなり評価額が小さくなるのです。


具体的な金額を用いて説明しましょう。

(なお、金額・日付は今回の案件とは直接関係ありません。)


【前提条件】

 ○仕上工事完了日 平成28年12月10日

 ○表示登記完了日 平成28年12月20日

 ○総合検査完了日 平成28年12月25日

 ◎相続発生日   平成28年12月25日

 ○竣工検査完了日 平成29年1月20日

 ○建物引渡し日  平成29年1月30日


 ○請負金額(費用原価)2億円

 ○固定資産税評価額 6千万円


【建物の相続税評価額の比較】

(1)建物完成前に相続が発生した場合

  2億円×70%=1億4千万円


(2)建物完成後に相続が発生した場合

  6千万円


【相続税額の比較】

 ※仮に相続税の実効税率を20%として計算します。

(1)建物完成前に相続が発生した場合

  1億4千万円×20%=2,800万円


(2)建物完成後に相続が発生した場合

  6千万円×20%=1,200万円


(3)差額(2)−(1)=1,600万円


相続発生前に建物が完成するか・しないかで実に1,600万円も

相続税額が違ってくるのです。


「固定資産税評価額」は通常、工事金額の30%〜50%で

計算されるため、建物が完成していればかなり安い価格で

評価できることになります。

今回の案件も工事金額の30%程度で固定資産税評価額か算出

されました。


なので、「いつ」工事が完了し、建物が「完成」したかが

非常に重要になります。

通常であれば建物が丁度完成した時点で相続が発生することは

そうそうあることではありませんが、今回の案件はまさにこの

状況だったわけです。


 ではいつをもって建物が完成したというのでしょうか?


私は「総合検査完了日」(平成28年12月25日)を完成日と主張しました。

税務署は「建物引渡し日」(平成29年1月30日)を完成日と主張しました。


税務署の言い分を簡単に説明するとこうです。

「引渡しが完了するまでは建物の帰属は請負業者にあり、建物自体

は本人(被相続人)の所有となっていない。建物が本人に帰属しない

限り、建物というモノ(物権)ではなく、工事代金(債権)で評価

するべきである。」


私はこれはおかしいと思いました。

「今問題となっているのは『建物がいつ完成したか』ということです。

『誰に建物が帰属するか』って関係ないでしょう?

『建物が【建物】として完成したのがいつなのか』ってことでしょう?」

と反論しました。


たしかに法人税法においては請負による収益の帰属時期を「引渡基準」

とする規定があります。しかしそれは【収益】の認識時点の問題であり、

相続税法の【評価】の問題ではありません。

なんだか、いろいろなことを混同しているような印象を受けました。


実際に建物が完成しても引渡しするまで一定の期間があるのは

あたりまえです。極端なことを言うならば建物が完成して1年後に

引渡しを受けた場合でも「引渡し日」が完成日になるのでしょうか?

そんなことありえません。


税務調査で反論するためには口で言ってもらちが明かないので、

私は揉めたときには「抗弁書」を作成して反論します。

今回も「抗弁書」を作成して税務署に提出し、最終的には

その抗弁書が国税局で審理され、私の主張は無事認められました。


 いかがでしょうか?


抗弁書については根拠となる考え方について裁決、法令等を引用

して理論的に作成しましたが、基本的な考えは上記のとおりです。

税務調査では普通に考えると「?」と思うようなことが否認される

ことがあります。

いろいろと根拠は言ってきますが、税法云々でなく

「常識的におかしい」と思うことはやっぱり誤りであることがあるのです。

ただ「普通におかしいでしょう?」と言っても納得してくれないので、

いろいろな切り口から抗弁する必要があります。


常識的な考え方が極めて重要になることも多いのです。

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